このコースでは、地球環境を守ることや、情報処理技術に興味・関心のある生徒を募集します。
Energy & Informationコースでは、エネルギー問題の解決や、情報処理技術の向上などを科学の力で如何に克服していくかを焦点に研究していきます。例えば、無駄に捨てられている熱を電気エネルギーとして回収することのできる熱電発電材料や電気抵抗をゼロにする超伝導体の研究や、社会に溢れる情報を解析・分析する情報処理の研究などを行います。材料合成やデータ処理を自ら行い、メカニズムの理解から高性能化へのヒントを導き出し、より高度な技術の開発を行ってもらいます。
半導体工学
ゼロエミッションへの挑戦 ~排気ガスからエネルギーを生む~
エンジンなどの内燃機関では、燃料の70%を最終的には熱として捨てているのが現状である。このムダに捨てられている熱エネルギーを回収することは大変重要である。その方法の1つにゼーベック効果を用いる方法があげられる。ゼーベック効果は約200年前に見つけられた効果であり、物体内に温度差を与えた場合に、その高温部と低温部に電圧が生じる物理現象である。しかしながら、ゼーベック効果では低温部分を低温に維持するために、冷却が必要である。つまり、原理的に、熱エネルギーを回収するために熱を捨てる必要があり、変換効率は10%未満である。「さて、200年前の古い考えに縛られずに、若い諸君ならどうするか?」をテーマに、新規材料を開発・合成する研究を行う。
既成概念に囚われない柔軟な考えができる人間形成
薄膜工学、無機物質化学、酸化物超伝導体
抵抗ゼロで電気を流せる超伝導技術で環境・エネルギーに貢献 ~-196℃で躍動する超伝導体~
2027年に実⽤化されるリニアモーターカーや病院の検査で使われるMRI装置、実はどちらも共通したある技術が使われています。それは「超伝導技術」です。超伝導体は極低温に冷やすと電気抵抗がゼロになる物質です。
本テーマでは、液体窒素(窒素を液化したもの; -196℃の液体)を利用して酸化物超伝導体を冷却し、永久磁⽯を⽤いたり電気を流したりする実験を通して超伝導の特性を体得します。そして、超伝導体の性質を私たちの暮らしに応⽤することを⽬的として、電気抵抗ゼロで超伝導体に通電できる性能の⾼度化や性能の違いのメカニズムをテーマにした研究に取り組みます。
研究テーマの背景や⽬的を理解し、そして実験⽅法の計画の仕⽅を学び、得られた結果の正確な解析・評価⽅法を習得します。また、実験結果に対する⾃分の考え(考察)を他⼈に説明する仕⽅を学習します。
触媒化学
賢者の石「触媒」で地球環境を守る
喫緊の課題であるエネルギー・環境問題を解決する上で「触媒」は不可⽋です。再生可能エネルギーの利用やリサイクル、資源循環など、地球環境を守り、持続的社会を築くための考え⽅を「触媒」を通して学びます。
無線通信、電子回路
飛んでる電波を電気に変える~電波エネルギーハーベスト~
IoTの時代、スマートフォンやWi-Fi、デジタルTVなど通信や放送に用いられる電磁波が空間に溢れています。このような電磁波を使って、太陽光や風力発電など自然界に存在するエネルギーを電気に変えられるのと同様のことができないか、検討します。もしこれらの電磁波を集めて電気に変えることができたら、いろいろな電子回路を電池無しで動かすことができますし、新しい再生エネルギーとなりうるかもしれません。自然界に存在するエネルギーを電気に変えることを「エネルギーハーベスト」と言います。エネルギーハーベスト回路の基礎となる電子回路とアンテナの知識を学びます。
電子回路の設計・試作・実験・評価ができる。 電気の知識で将来のエネルギー問題を解決できる人になってほしい。
資源エネルギー工学
SDGsから今後のエネルギーを考えよう!
私たちの普段の生活は膨大な量のエネルギーによって支えられています。いま、地球では何が起きているのでしょうか?どのようなエネルギーをどのように使えば地球に優しいのでしょうか?より良いエネルギー資源を探して、より良く使うための科学と技術について、実験・データ解析・数値シミュレーションを駆使して、一緒に研究しましょう。研究の対象は地球以外にも広げたいと考えています。
地球環境に興味を持ち、具体的に何がどのように問題なのか、それに対して何ができるか、自分の考えを持つこと。そして、それに沿って行動を始めること。研究の成果を学会などで発表できることを目指します。
航空宇宙工学
イオンエンジンの代替推進剤の探索
惑星探査機などのエンジンであるイオンエンジンのほとんどはキセノンを推進剤(燃料)として使っています。しかしながらキセノンは非常に高価であり、貯蔵も大変です。そこで、キセノンに代わる新たな推進剤を探します。新しい推進剤を使ってイオンエンジンを動かし、その性能を評価します。
ものづくりの楽しさや苦しみを体験し、正解がない問題に取り組む面白さを経験することが目標です。
建築環境・設備
人と環境に優しい都市・建築を創る ~Building Physics~
建築環境・設備学は、物理現象に即して、熱・光・空気(物質)・音・水・人間などに分類されます。私は、特に熱力学と熱・物質移動論を基にした建築機能デザイン(エコロジー建築や省エネルギー建築など)およびComputer Scienceを得意としています。簡単に言えば、快適性・耐久性・省エネ性などに優れた建物を、伝熱理論を駆使して科学的に設計するということです。専門的には、建築各部の熱流や物質流などを位置や時間を含む変数として偏微分方程式で表現し、それを実行可能なプログラムコードに変換して、気象条件(境界条件)の基で解いて居住環境を評価しています。
建築は人為的な構築環境の産物です。この人工環境は、人体系と建物系と設備系から成ります。快適な空間を形成するには、人体系の生理・心理的要求に応じて、建物系の熱・光・空気・音などの環境要素をパッシブにデザインし、さらに設備系によってアクティブにコントロールすることが必要になります。人間生活や住まいの目的用途に対応して、建築内外の環境要素と設備機器を一体化し、最小限の機械制御により生活の利便性を向上させる空間システム学の構築と、そのガイドラインとなる建築機能デザインを目指しています。
学会発表など
建築環境・設備
カーボンニュートラルを実現する建築・都市の探究
脱炭素社会の実現に向けて建築・都市の省エネルギー化や再生可能エネルギーの導入が求められています。また、建築を利用する居住者の省エネ行動の促進も必要です。今後の建築・都市のあり方や居住者の行動変容について計測や実験を通して探究します。
学会発表など
人工光合成、人工抗体、CO2回収・還元
人工光合成への挑戦
カーボンニュートラル社会の実現ために太陽光と触媒を使って人工的に水素を合成したり、CO2を還元する『人工光合成』の研究が注目されています。本テーマでは、実験を通して最先端の人工光合成の研究に迫ります。
カーボンニュートラル社会の実現のために進められている様々な研究について学び、実際にその研究を体験することで理解を深める。
カーボン科学、高分子材料
カーボンナノチューブ×スライム=発電サンドイッチ
私たちの身の回りは実はエネルギーに溢れています。カロリーを消費して生きる私たちの体もエネルギー源なのです。そんな私たちの体から出る熱エネルギーから発電(電気エネルギーを作る)するための発電サンドイッチを作ります。
カーボン材料はどのように使われているのか学修し、カーボンナノチューブはどのような可能性を秘めているのか理解する。材料開発の現場のプロセスを体験することで、将来自分が身に着けるべき知識のイメージを明確化する。学会発表まで到達することが目標。
情報通信
未来の通信技術の創造 ~電磁波の性質を理解し操る~
光や電波は電磁波と呼ばれ情報通信を行うための必須の媒体です。電磁波は空中と物質中とでは振る舞いが異なります。そこで電磁波の物質中での性質を測定するための実験方法を考え、データを収集し、その性質を利用した新しい情報通信技術の可能性を研究します。
電磁波が持つ物質中での特徴を利用した新しい情報通信方法を提案、実証する。成果を学会や共著論文で発表する。
情報数学、プログラム理論、形式検証
誤り訂正符号の原理と応用について考える
書籍等についているバーコード, HP閲覧などに利用されるQRコードなど, そのコードの読込エラー検出やエラー修復の実現方法について, 背景にある数学理論とともに, 具体的な計算方法と理論を学び, 社会の中に利用されている数学(代数学)のひとつの例を実感します.
計算機による計算の正しさを評価する考え方を身につけること。
資源工学,化学工学,熱工学
反応を用いたエネルギー・環境技術の開発
SDGsに向けて日本では省エネルギーや地球温暖化ガス抑制技術の開発が進められている.
テーマでは,熱エネルギーを貯める蓄熱による省エネ技術や二酸化炭素を捕まえるCO2分離回収技術を研究します.
工学に興味を持ちこれからのエネルギーや環境に対して理解し,自分で考え行動する.研究活動を通して成果発表まで行う力をつける!
電池、燃料電池内の数値シミュレーション、データサイエンス、微細構造評価
コンピュータで電池の中を知る~計算科学を利用した新たなモノづくり~
より良い電池を作るためには、その内部の現象を知る必要があります。しかし直接測るのは困難なので計算科学によるシミュレーションが有効です。本テーマでは最新の計測・分析・計算方法を用いて内部の状態を予測し、そしてその情報を用いて電池の設計に挑戦します。
身の回りの電池や次世代電池内部の反応特性やそのメカニズムを理解した上で、出力、容量、耐久性の向上に繋がる材料・構造条件を推定し、その根拠を深く考察し明らかにすること。成果の学会発表や共著論文投稿。
情報学
「情報」の科学 〜情けを報せるとは〜
スマホやSNS、ネットで様々な情報に触れていますが、「情報」をよく見ると「情けを報せる」と読めます。
本テーマでは、データやシミュレーションを用いた情報学の研究を紹介しつつ、一般とは違う観点から「情報」の本質にせまり、「情けを報せる」ことがどういうことか明らかにします。
本テーマ自身が「情けを報せる」実践でもあります。
不確実な目的を作り、これに向かって進むことができ、対立する意見を持つ人に成果を伝えようとするマインドを持つこと。
静電気生物応用
静電気力で細菌やウイルスを検出
本テーマでは、物理(電磁気学)で学ぶ「クーロン力」を取り上げます。電場中に置かれた電荷に作用する力のことをクーロン力といいます。クーロン力は、様々な産業に利用されていますが、本テーマでは、細菌やウイルスの検出への応用について研究します。ここでは、クーロン力と共に「分極」と呼ばれる現象についても学び、それら用いた細菌やウイルスの検出法について研究します。分極現象によって、検出対象に電荷を生じ、それをクーロン力で操作して検出します。
検出対象を決め、クーロン力を用いた手法でどの程度の検出感度があるのかを実験的に確かめます。測定のための計測器自動制御についても学びます。研究成果を国内学会発表することを目指します。
静電気力を用いた細菌やウイルスの検出のための理論を学び、検出実験およびその結果の考察を行う。国内学会発表を行う。
人工知能、データマイニング、情報推薦、自然言語処理
データを収集・分析し、役に立つ情報を発見・活用する
自分の身の回りにある情報(新聞記事、TV報道、WebやSNSに加え、学校や登下校時、クラブ活動などで、良く目にしたり、気になったりする情報)に着目し、その情報の事実関係を調べたり、その情報と関連する、自分もしくは誰かの役に立つ新たな情報を発見したり、活用したりする方法について研究を行います。
この研究において最も重要な点は、どのような情報を扱うか、その有用性を分析し、判断し、まとめる視点です。そのため、情報の収集や分析を手作業で行いながら進めても構いません。ただ、手作業では収集、分析できる情報の量が限られてしまうのが難点です。その点に着目し、手作業で収集、分析し、判断することの問題点について考え、より効率的に行う方法について研究してみることも良いテーマとなります。 WebやSNSのデータを対象に、これらの情報の収集や分析を行ったり、分析結果の有用性判断を行う機械学習モデルの構築などを行ったりするプログラム開発はその一例となります。自分でプログラム開発ができない場合でも、上記を実施するツールを見つけ、利用することでもできます。研究で利用する情報や手法の選択自体は皆さん次第ですが、その選択に迷うこともあるでしょう。その迷いの解消を支援する仕組みの開発も良いテーマとなります。
自由な発想での、面白い研究視点の提案を待っています。
データの収集・分析・活用方法を学び、理解し、その応用技術を身に着けるとともに、論文としてまとめる。
高温、金属、強度、強化、発電
高温材料が拓く未来 ~発電のキーマテリアルズ~
自動車、食器、パソコン、携帯電話などに利用される材料は身近に感じると思いますが、それ以外にも、普段は目にしない、でもとても重要な材料はたくさんあります。例えば、電気エネルギーを作り出すために利用されている材料がそうです。現在、日本では、火力発電によって70%以上の電気が作られています。そのため、火力発電を支える材料は、私たちの文明を支えていると言っても過言ではありません。本授業では、発電が抱える問題点、未来の技術、それらを実現するため開発されたキーマテリアルズに秘められた材料科学テクノロジーを紹介します。