このコースでは、人と人との関係や、それを司る体の機能ならびにそれを支える仕組みを解明し、さらには、そうした機能が失われたときに、それを再生するための技術を開発する科学、ならびに、そうした研究を行う背景にある倫理感に興味を持っている生徒を待っています。
Life & Science のコースでは、文系・理系領域を内包する研究テーマを用意し、人の心の問題、人と人のつながりを活性化するコミュニケーションの原理や再生医療の実用化を目指す先端医療の開発、あるいはその原理を探求する人の体の形造りのメカニズムの解明など、自然科学と人文科学および社会科学を包含する研究課題を提供します。QFCリサーチではテーマに基づいた研究の面白さや難しさを学び、人間社会やヒトを対象とした研究や、ヒトのモデルとなる動物を用いた研究を体験してもらいたいと考えています。
歯科矯正学
“顔”の成長を考える
私達は、もとは一つの細胞でした。その一つ一つの細胞が母親の胎内で爆発的に増え、それぞれに独特な機能分化をすることで、私達は、 “ヒト”のかたちを獲得しました。“ヒト”の形という外見だけでなく、体の中でも様々な器官がかたち造られ、それぞれが様々な働きをしています。中でも、“顔”を形作る目や鼻、あるいは口の位置や大きさを決定づけるのは、その裏打ちとなっている骨格です。皆さんの顔も生まれる前から成長期を通してかたち造られ、成長し、赤ちゃんの顔から子どもの顔、そして大人の顔になっていきます。この顔の形の成長・発達のメカニズムをいろいろな角度から分析し、研究していくことが私たちのリサーチテーマです。
いろいろな細胞がどのように顔の形成に影響するか考察し、理解する。 国内学会発表(高校生等の発表コーナーでの発表)を目指します。
脳情報科学,脳機能イメージング、生体医工学
脳を科学する
脳の神経活動は脳波を計測することによってとらえることができます。ここでは、脳波やその他の生体情報を計測することによって脳の働きを探求するとともに、計測で得た情報を用いて、教育分野や高齢者や障害者など社会福祉の分野で役立てる技術について学び、研究します。
脳科学の基本的なことについて理解するとともに、実験方法について習得し、得られた成果の国際学会発表、論文投稿を目指す。
教育社会学、心理教育測定、社会調査法
社会・教育現象を解明するデータサイエンス
心理テストやアンケートを用いてデータを収集し、社会・教育現象のメカニズムを解明していきます。普段、可視化されていない社会・教育現象のメカニズムやパラドクスをデータサイエンスの手法で明らかにしていきます。
共著論文投稿、学生懸賞論文への応募、共同学会発表(国内、国外)
レギュラトリーサイエンス、新薬・医療機器開発、循環器内科学(心臓生理)
新薬開発の「死の谷」を越える
医薬品、医療機器、再生医療等製品などはヒトの健康に直接影響するため、当局(厚生労働省等)の許可が必要です。大学発の優れた基礎技術・発明であっても、有効かつ安全であることの種々の証明が課せられ、開発の「死の谷」とも呼ばれます。レギュラトリーサイエンスはその最速・最適な証明法を研究する医学分野です。
基礎技術を医薬品等にするまでに必要なステップがなぜ必要かを理解し、実際に開発戦略を組み立てます。成果の学会発表。
臓器移植、医の倫理
移植といのち
移植医療とは疾病や事故によって臓器や組織が機能障害に陥った場合に、他人から採取した臓器や組織を治療に応用するものである。20世紀最大の医学的成功の一つである臓器移植は、世界中で数十万人の患者の命を伸ばし、その生活の質を改善してきた。他国に比べて臓器提供数が少ない我が国では、生体からの移植や渡航移植を余儀なくされ、他国に頼る我が国の姿勢は世界的に倫理的批判を受けている。それ故、我が国の脳死下臓器提供数の増加は喫緊の課題である。
臓器移植医療を理解し、その普及のためのアクションを実践してもらいます。成果の学会発表。
内科学、糖尿病学、糖尿病の再生医療、臨床検査学
糖尿病の再生医療 〜膵臓内でのインスリン産生細胞再生〜
1型糖尿病をご存知ですか? 膵臓から分泌される“インスリン”というホルモンは、血液中の糖を細胞に取り込ませることで細胞にエネルギーを供給しています。1型糖尿病は、いろいろな原因でこのインスリンを産生する細胞が壊され、インスリンが分泌できなくなり、細胞ひいては個体がエネルギー不足になって死に至る病気です。多くは幼少期から思春期に発症し、治療としては、一生にわたってインスリンを注射することが必要になります。
講義を通して、1型糖尿病の成因、病態とその治療法について学びます。さらに、iPS細胞や膵組織幹細胞を用いた1型糖尿病の最新の再生医療について学びます。
口腔予防医学
口のなかの常在微生物叢と健康
私たちの口の中には膨大な数の常在微生物が複雑な生態系を構築して生息していて、歯や口はもちろん全身の健康にもさまざまな形で関わっています。この口腔常在微生物叢というシステムについて理解し、誰でも簡単に「健康な口腔常在微生物叢」を保つことができる新たな方法の確立を目指します。
口腔常在微生物叢の構造や動態について学び、学会などでの研究成果の発表を目指します。
口腔解剖学、口腔組織学、発生学、幹細胞生物学
歯の中の宝物
みなさんは小学生の間に子供の歯(乳歯)が抜けて、大人の歯(永久歯)に生えかわったことを覚えていますか?その抜けた乳歯はどうしましたか?海外では、抜けた乳歯を枕の下に入れて寝ると、翌朝「歯の妖精 tooth fary」がそれをコインに交換してくれるという言い伝えがあります。実はこの抜けた乳歯の中には「宝物」がたくさん詰まっている「宝箱」なんですよ。私たちは、この「宝物」、つまり乳歯幹細胞を使って、主に小児難病の原因を探ったり、新しい治療法がないか研究を進めています。
講義を通して、乳歯幹細胞の特徴を学びます。さらに乳歯幹細胞を用いた小児難病に対する研究に参加していただきます。研究成果の発表は国内の学会で発表を目指します。
歯科補綴学
“歯ぎしり”から睡眠を科学する
ヒトは誰でも、程度の違いはあったとしても“歯ぎしり”をします。歯があるから歯ぎしりと呼ばれていますが、睡眠中の歯ぎしりは、噛み合わせよりも中枢神経(脳)の活動でおきていることが分かってきました。本テーマでは、歯ぎしりの発生メカニズムや歯ぎしりの臨床的なコントロール(治療)方法について探求します。さらに、歯ぎしりを通して、睡眠のメカニズムについても理解を深めます。
講義を通して、睡眠中の歯ぎしりの発生メカニズムや臨床的なコントロールの方法について学びます。さらに、歯ぎしりを通して、睡眠のメカニズムについても理解を深めます。
言語学、認知神経科学、言語脳科学、脳機能イメージング
脳から探る言葉の不思議
皆さんは普段何気なく話していますが、私たちはどうやって日本語を話せるようになったのでしょうか?また、なぜ英語はなかなか話せるようにならないでしょうか?これらの疑問に答えるためには、私たちの脳が言葉を処理する仕組みを明らかにする必要があります。このテーマでは、言葉を使うときの脳活動を測定したり、変化させる実験を通して、言葉の背後にある脳の仕組みについて理解を深めます。脳波などの実験手法の仕組みや解析方法を学んだ上で、言葉を用いた脳科学実験を行います。
言葉の背後にある脳の仕組みについて、実験データの解析・考察を通して理解を深めます。国際学会での発表と共著での論文投稿を目指します。
ドイツを中心としたヨーロッパの近現代史
日記や手紙をどう読むか 〜「自分語り」の歴史学〜
日記や手紙は歴史学にとって重要な史料です。そこからは、書き手自身の個人的なことがらだけではなく、その人が生きた時代や社会の問題も読み取ることができます。最新の研究手法を踏まえて、過去の人びとがおこなった「自分語り」を歴史学的に分析していきます。
近現代において日記や手紙がどのように書かれ、史料としてどのような特性をもつのかを理解した上で、実際の日記や手紙を分析し、そこでの「自分語り」がもつ歴史的な意味や意義を解き明かすこと。成果の学会発表や共著論文投稿。
バイオエシックス(Bioethics & Medical Ethics)
医療をめぐる生死(いのち)の課題を考究する
医療をめぐる生死(いのち)の課題について、歴史ある病院キャンパス探索や医学歴史館見学、また告知に関する死生観調査など、生徒の関心事を通して、広くバイオエシックスの基本概念『人間の尊厳』・『生命の尊重』を考究します。
学会・研究会での発表を目指します